製造・製法へのこだわり
当社は深蒸しと呼ばれる製法で、荒茶の製造を行っております。「深蒸し」と言えども、単に深く蒸す・長く蒸すということではありません。茶葉の状態に合わせて、しっかりと芯まで蒸しを通すことが良茶の条件です。
また、この「蒸し」がお茶の香味を決定する上で、最も重要な技術となります。その日の気温や湿度、茶葉の成熟度に合わせ、蒸しを調整。その他にも様々な角度・工程からアプローチをすることで、多様なお茶の香味を引き出すことが可能になります。美緑園のお茶の特長である「余韻のある旨み」は、この技術が源泉のひとつとなっています。
茶専門店や飲料製造業、食品加工業など、業態により求められる製品は多岐に渡ります。 当社では、お客様に対し細やかなヒアリングを行い、創業以来培った製茶技術で、ご要望に合わせた荒茶の製造を行っております。また、美緑園のオンラインショップでは、この技術を活かした多様なお茶の世界を体感できる商品ラインナップをご用意しております。
製造工程と設備
お茶の製造工程は、「荒茶(一次加工)」と「仕上げ(二次加工)」の2つに分けられます。通常、生産農家が荒茶を作り、それを加工業者が仕入れて仕上げ加工を施します。美緑園では、荒茶の製造・販売を行なっています。
トレーサビリティ
当社のお茶はすべて、茶葉の生産履歴を追跡調査できるようになっています。どの圃場でいつ収穫したかはもちろんのこと、いつどんな農薬をどの程度使ったかもチェックしています。またその後の荒茶製造工程も、いつ製造したかを記録。サンプルも保管するなど徹底しています。
- トレース項目
- ・生産年月日 ・圃場名 ・品種
- ・摘採日 ・荒茶加工年月日 ・包装年月日
- ・防除履歴(使用農薬の種類・散布濃度・散布年月日・摘採前日数)
生葉品質
原料となる生葉が、最適なタイミングや高い技術によって摘採されることで、質が高い製品を製造することができます。当社では摘採計画に始まり、摘採位置の決定と記録。さらに摘採後にも摘採圃場ごとに品質チェックを実施することで、生葉品質の向上に努めています。
荒茶品質
高品質な製品製造のため、専門の茶師による高い製茶技術で、安定した製造を行っております。また、異物混入対策として、作業員の服装チェックや金属探知機の設置をしています。
製造工程表
場所・工程 | 施設機材 | 特徴 |
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集荷場 | 計量器 | 収穫された生葉をトラックに載せたまま計量することができます。 |
保管 | コンテナ | 計量された生葉を一時的に保管します。風を送り込み、茶温を下げることによって、生葉の劣化を防ぎます。 |
蒸熱 | 網胴回転攪拌式蒸熱機 | 葉を攪拌しながら蒸気をあてます。当社では蒸し加減を調整しやすい網胴回転式を採用しています。 |
粗揉 | 粗揉機 | 蒸した葉を熱風の中で攪拌しながら揉み、水分を均一に飛ばします。 |
揉捻 | 揉捻機 | 茎は葉に比べて乾燥しにくいので、揉捻することにより、水分を揉み出すようにして茶葉全体の水分を均一にします。 |
中揉 | 中揉機 | 粗揉と同じく葉を揉みながら乾かし、葉を撚って細くする大切な工程です。葉を握って離すと自然にほどける程度まで乾燥させます。 |
精揉 | 精揉機 | さらに乾燥させながら揉み、形状を整えます。 |
乾燥 | 乾燥機 | 葉を乾燥機内に広げて熱風をあて、乾燥させます。荒茶では、水分含有量は5%くらいにとどめます。 |
深蒸し製法
深蒸し製法とは、深蒸し煎茶を作るための製法で、お茶の製造工程の第一歩である蒸熱を長くしたものです。普通煎茶の標準的な蒸熱の時間は30~40秒ですが、深蒸し煎茶はその2~3倍ほど長く、60~120秒間蒸して作ります。
牧之原台地で生産される茶葉は、葉肉が厚いものが多いため、葉や茎の奥までしっかりと蒸す「芯蒸し」と呼ばれる技術が、お茶の味を決める重要な鍵となります。
その日の気温や湿度、生葉の熟度に合わせて蒸熱時間を細かく設定することで、お茶の「旨み」や「コク」を最大限に引き出し、渋み・苦みを抑え「まろやかな味」を作ることができるのです。
長く蒸すので、製造中に葉が細かくなりやすいため、細かい茶葉が多くなりますが、浸出液は濃い緑色になり、甘みのあるお茶として広く親しまれています。
普通蒸し製法
普通蒸し製法とは、普通煎茶を作るための製法で、深蒸し煎茶より蒸熱の時間が短く、一般的に蒸熱の時間は30~40秒です。深蒸し煎茶と同じように、葉を何段階にも分けて揉みつつ、乾燥させながら、針状に形を整えて製造するお茶のことを指します。
浸出液は金色透明で、香り高く、旨み・渋みが調和したお茶です。
美緑園は深蒸し製法を主に製茶していますが、お客様のご要望に合わせ、普通蒸し製法にも積極的に取り組んでいます。
年間の生産・製造量
美緑園では、全茶期で荒茶の製造を行なっています。
茶期 | 摘採期間 | 生葉/生産量 | 荒茶/製造量 | 荒茶の主な用途や販売先 |
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一番茶 | 4~5月 | やぶきた/75.5t・つゆひかり/1288kg | やぶきた/12.8t・つゆひかり/200kg | 茶専門店・小売店 |
二番茶 | 6~7月 | やぶきた/72.0t・つゆひかり/1034kg | やぶきた/10.3t・プーアール/3t 被覆茶/0.2t・つゆひかり/150kg | 茶専門店・小売店 |
三番茶 | 8月 | やぶきた、他/78.7t | やぶきた、他/14.2t | 加工業者・ほうじ茶 |
四番茶 (秋冬番) | 10月 | やぶきた、他/130.4t | やぶきた、他/31.1t | ドリンク原料 |
H29年度実績