品種の選定
茶の品種改良は、明治時代より本格的に取り組みが始まり、現在品種として登録されたものは100種類以上に及びます。茶園で栽培する品種を選ぶ時には、作るお茶の種類(茶種)、気象条件や産地適性、茶園面積や経営方針と品種ごとの特性を照らし合わせる必要があります。
特に近年、生活形態の変化に伴い、消費者の嗜好が多様化し、緑茶においてもドリンクの普及、粉末茶の利用拡大などの飲用形態が多様化しています。他方、生産現場においては、やぶきた種は9割を越え、そのため摘採時期が集中することによる加重労働、工場の大型化、コスト高、香味の画一化、産地の無個性化を生じています。
当社では、主力品種である「やぶきた」に加え、早生・中生・晩生品種を組み合わせた茶樹の育成を行っております。それぞれの品種特長を活かした生産・製造をすることによって、日本茶の豊かな香味の世界をお届けしています。
やぶきた
茶園面積 | 13.1ha |
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生葉収量 | 一番茶 75.5t 二番茶 72.0t 台切番 78.7t 秋冬番 130.4t |
荒茶製造量 | 12.8t(H29年一番茶) |
摘採時期 | 4月下旬~5月上旬 |
美緑園の主力品種。静岡県在来種の実生から1908年、静岡市内の民間育種家である杉山彦三郎氏により選抜された、日本茶を代表する品種。1945年に静岡県の奨励品種となり、その後1953年に登録。煎茶としての品質に優れ、味良し・香り良し・色良し。すべてのバランスが取れた超優良品種。全国の栽培面積は、約75%を占める。
- 味
- しっかりとした旨み
- 香
- さわやかな香り
- 味
- 緑色
※深蒸し製法時
つゆひかり
茶園面積 | 0.4ha |
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生葉収量 | 一番茶 1288kg 二番茶 1034kg 秋冬番 5376kg |
荒茶製造量 | 0.2t(H29年一番茶) |
摘採時期 | 4月下旬 |
2000年に登録された新しい品種で、2001年から静岡県の奨励品種になり、当社でも導入した。萌芽期・摘採期はやぶきたより2日程度早い、やや早生種。やわらかな甘みと、ほんのり桜葉のような香りが特長。深蒸し製法で製造すると、水色は鮮やかなグリーンに。
樹勢が強く、新芽は芽重型で多収性。耐病性、耐寒性に優れている。
- 味
- やさしい甘み
- 香
- 華やかな香り
- 味
- エメラルドグリーン
※深蒸し製法時
おくみどり
茶園面積 | 0.5ha |
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生葉収量 | 今年から |
荒茶製造量 | 幼木育成中 |
摘採時期 | 5月中旬 |
1974年に登録。萌芽期がやぶきたより11日、摘採期は8日遅い、晩生品種。癖が無い温和な香味と言われるが、まろやかな甘みと独特な香りが特長。深蒸し製法で製造すると、水色は濃い緑色に。やぶきたと摘採時期が重ならず、品種特長を活かしたタイミングでの摘採・製造ができること、また抹茶にも向く品種とされていることから、導入した。新芽の硬化が遅く、樹勢が強く、多収性。耐寒性に優れている
- 味
- すっきりした甘み
- 香
- さわやかな香り
- 味
- 濃緑色